グリストラップの種類を知るための重要な6つの項目について解説します。それぞれを理解することで、グリストラップを選ぶ際の手助けになるはずです。
- 設置方法
- 流入方法
- 素材
- 大きさ
- その他の機能
- 工業会認定の有無
記事の最後には、実際にどのような店舗でどの種類のグリストラップが選ばれているのか、実態調査したデータも載せていますので、よければ参考にしてみてください。
グリストラップの種類を理解する6項目
設置方法は全部で4種類あります。厨房の場所や必要な容量によって選びます。
設置方法 | 施工方法 | 特徴 |
---|---|---|
地中埋設 | 地面にグリストラップの大きさの穴を掘り、埋め込む。割栗石と砂利を敷き、底と側面はコンクリートで固め、本体を入れる。 | 建物1階の厨房や、屋外設置タイプに最適。大型のグリストラップも設置が可能。設置高容易。 |
床吊り | 床(スラブ)を開けて、吊るすように設置する。固定用金具(床鉄骨にアンカーと本体バンド)で固める。本体の周囲は防水加工して隙間にモルタルなどで埋める。 | 建物2階以上の厨房用。避炎型もある。そのフロアに設置できるので増設が容易。 |
シンダー埋込(擬打埋没) | 防水処理をしたスラブコンクリートの上に、保護モルタルを打設し、本体を設置する。周囲にはシンダーコンクリートを打設する。 | スラブの間が不要。一般的な1階の厨房用。重量物の設置に適する。 |
床置き | 厨房の床に本体を設置する。 | 特別な工事が必要なく設置が容易。2階以上でもOK。狭い場所にも設置しやすい。小型タイプのみ。 |
グリストラップの大きさは、次の6項目を加味して選びます。
- 業種
- 店舗面積
- 回転数
- 1日の厨房使用時間
- 利用人数(食数)
- 清掃周期
日本阻集器工業協会では面積や利用人数から、流入流量や阻集グリース及び堆積残さ質量を算出して必要量以上の大きさのグリストラップを導入するよう規定されています。
とは言え、素人には具体的にどの機種がいいのか判断が難しい(ほぼ無理)ので、グリストラップメーカーの選定フォームを活用しましょう。条件を入力してけば、最適なグリストラップ容量と型式を提示してくれます。
- 直置式マンホール: グリストラップの蓋(マンホール蓋)を本体の上に直接置いて蓋をするタイプ。メーカーによっては「マンホール一体タイプ」と呼ぶところも。
- 別枠式マンホール: グリストラップの上に受け枠を設置し、その上にマンホール蓋をするタイプ。メーカーによっては「蓋受座付」「マンホール分離タイプ」と呼んでいるところも。
- 浅型: 従来の半分程度の深さで掃除がしやすい。ただし幅と奥行きは大きい。
- スリム型: 狭いスペースに設置できる。蓋部分も細長いので、転倒のリスクを軽減できる。
- 側溝一体型: 側溝型でグリストラップ機能も加わったもの。側溝にそのまま埋め込みでき、省スペースでもOK。
- 回収機構付: 床置き型のグリストラップで、取ってを捻るだけでグリースを回収できるタイプ。蓋を開けなくてもグリース回収できる。
- 点検窓付蓋: 蓋にアクリルの窓がついている。蓋を開けなくても中の様子が確認できる。
- シンク一体型: シンク下にグリストラップが据え付けられている。空間を有効活用でき、見た目もスマート。
日本阻集器工業会では、一定の性能がある製品を認定する制度があります。現在は、「SHASE-S217-2016グリース阻集器」の規格に適合するものに認定品の称号が与えられます。認定された製品には、下の図のような「認定品」のマークが製品やカタログに記載されているので、確認してみましょう。
画像出典:日本阻集器工業会
認定審査は書類および性能試験で、厳密に行われます。たとえば性能試験では、第三者試験機関が満水にして水漏れが10分間ないか、阻集効率98%以上かどうかをチェックしています。
過去にはグリストラップの性能を満たしていない性能不良品も多くみられたことから、このような認定制度が作られました。グリストラップ選びでは、認定品かどうかもチェックしましょう。
実店舗に設置されている種類の調査
グリストラップを導入している現場で働く人33名にアンケートを取り、実態を調査してみました。(クラウドソーシンクサイトにて2024年6月調査)
グリストラップの置き場所は、厨房内が8割以上で圧倒的に屋内派が多数でした。屋外は18.2%で、
- 病院
- 介護施設
- 食品加工工場
- スーパーの調理場
- 弁当屋
などの大型厨房の施設が多いです。また病院や介護施設は、通常よりも高い衛生環境を求められる場所で、グリストラップが厨房内にあるのは不衛生とされているところもあります。
厨房内に設置できるタイプとして、
- 床置き
- 埋込み
の2種類があります。今回のアンケートでは、9割近くが埋め込むタイプで、床置きは3件のみでした。床置きの業種は、カフェ・チョコレート専門店・居酒屋で、排水の量が少ないところが多かったです。
グリストラップへの流入方法は、パイプと側溝の2つがありますが、側溝式は33人中5件(15.2%)だけでした。側溝式を導入している現場は、病院給食や社員食堂などの規模が大きいところや、仕出し弁当の洗浄工場など水を多く使う場所です。ケーキ店のキッチンで側溝式を導入しているところもありました。