グリストラップとは?図と画像で専門家がわかりやすく解説!

グリストラップとは?

グリストラップ(英語表記:Grease Trap)とは、飲食店や食堂などの調理施設に設置され、厨房から出た排水をゴミと油と水に分けて下水に排出するための設備です。このシステムのおかげで、配管の内面に油脂などが付着して詰まる問題を予防できます。グリストラップの清掃業者は「グリストラップ(グリーストラップ)」と呼ぶことが多く、グリストラップの製造メーカーや各自治体の水道局のホームページ、法律や条例など公的な文章には「グリス阻集器(そしゅうき)」や「油水分離阻集器」と書かれていることが多いです。

グリストラップは設置するだけでなく、槽内に溜まった生ゴミや油脂を日常的に従業員が汲み取ったり、専門の業者に依頼するなどして定期的に清掃する必要があります。この清掃を怠ると、生ゴミの腐ったような悪臭や油が酸化した刺激臭がするようになり、さらにコバエやGなどの害虫が発生する原因にもなります。業者による清掃は今はバキューム工法が一般的ですが、油を石鹸水に変えてグリストラップ槽内や配管を丸ごと綺麗にできる最新技術の石鹸化工法に乗り換えられる店舗様が増えています。

グリストラップの関連団体

日本阻集器工業会(1982年設立):グリストラップの普及や認定、製造技術向上など

全国水利用設備環境衛生協会:水資源や水利用設備の検査・管理、レジオネラ感染症の予防対策など

東京都水道局など

グリストラップ設置の実態調査

グリストラップの設置が義務なのは何となく知っているけど、実際はどうなの?と疑問に思う方は多いと思います。今回、私が実際に行った清掃の現場やインタビューやアンケートのデータを集め、グリストラップ設置の有無や種類ごとの設置割合をまとめてみました。

グリストラップ設置の有無

まず、厨房関係者60名へのアンケートで職場にグリストラップがあるかどうかを調査してみました。調査の結果、グリストラップが「ある」と回答したのが全体の約58%、一方で「ない」と答えた人は約35%でした。

設置の有無 割合
ある 58%
ない 35%
わからない 7%

事業用の厨房であればグリストラップは環境面や法律の観点から設置は必須ですが、設置していない厨房も意外と多く驚きの結果となりました。特に小規模な店舗や、厨房のないテナントからの居抜き物件などでは設置していないことが多いようです。もともと民家だったところで最低限の設備だけ設置して営業している焼き鳥屋などもありました。単に知識不足だったり、グリストラップの設置は床や配管の工事が必要で高額な費用がかかるため、予算の都合で設置を見合わせるオーナー様も多いのかもしれません。

設置されていない店舗の業種は、ラーメン店・カフェ・給食・ファミレス・スーパーの惣菜・フランス料理店・ピザ・居酒屋など、偏りは見られませんでした。存在を知らないだけかと思いましたが、「ない」と回答したのはアルバイトの人だけでなく、オーナーや従業員責任者もいたので、グリストラップの必要性が認識されていないように思われます。

タイプごとの設置割合

グリストラップにはさまざまなタイプがありますが、基本的には厨房の床に埋め込むタイプが多いです。独自調査によると約64%(19店舗)が埋め込み式でした。

タイプ 店舗数 割合
埋め込み式 19店舗 64%
床置き 2店舗 7%
側溝式 4店舗 13%
屋外 5店舗 17%
店舗ごとの設置台数

また、グリストラップの設置台数は店舗規模や業種(飲食系か工場系かなど)によって大きく差が出ましたが、基本的には1店舗で1台という店舗が多く83.3%を占めました。

グリスト台数 店舗数 割合
1台 25 83.3%
2台 3 10.0%
3台 1 3.3%
10台 1 3.3%

グリストラップを10台設置しているのは、コンビニのお弁当やおにぎり、サンドイッチなどを製造している工場でした。また、ここにデータとしては含まれていませんが、私が以前インタビューしたスーパーでは、精肉や鮮魚、農産(野菜)や惣菜などの部署(厨房)ごとに1台ずつ設置されているようでした。

また、そのような複数のグリストラップが設置されている店舗では、各グリストラップの先に「浄化槽(じょうかそう)」が設置されていることが多いです。スーパーやショッピングモール、工場など大規模な施設では、グリストラップの日常清掃は各部署(厨房)に任せ、月1~2回ほど清掃業者が一括で浄化槽の汚れをバキュームするというケースが多いです。浄化槽は施設の外や業者搬入口の付近などにあり、バキュームされているのを見たことがないという厨房担当者もいました。

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